その2<収益分析>

収益分析の前提としての資本概念>

収益分析の前提として 大切となるのが 資本の概念です。

資本は調達されるもので、

⇒株主が出資した資本である 自己資本  と  他人(債権者)から調達したものである他人資本から構成されます。 

 

これらの資本は、会社(個人でも同様)の事業経営にあたって、基本中の基本となるものです。

 

考えてみれば当たり前ですよね。この世の中、お金がなければ、なにもできませんから。ましてや、自分で独立して起業しようという場合は本当にお金がどれだけあるかで成功するかどうかを決定してしまうことも多いのです。

 

起業の際に、必要となるその資金を資本といい、自己資本(個人の場合は自分のお金、企業の場合は株主が出資したお金)と他人(銀行など)から調達(借入)した他人資本から構成されることとなります。

 

収益性分析では、売上に占める利益の割合、つまり、企業がいかに効率的に利益を獲得しているかを分析します。

 

そこで、これらの資本が有効に利用されているかを分析する手法の話に移ります。

 

企業がどれだけ効率的に運用されているかの指標として利用されているものに

 

①資本利益率

  資本利益率は、企業に投下された資本に対して、いかに効率よく利益を

  上げているかを表す指標です

 

資本利益率= 利益 / 資本

 

  この指標は、起業の場合で考えれば、自己資金(自分以外の出資金も含む)

  と借入資金の合計投資額で利率どれだけの儲けになるかを表しています。

 

  この儲けの率が定期預金やその他の投資商品利回りより高ければ少し

  安心だし、逆に低いようだと事業運営は難しいこととなるでしょう。

 

  もっとも、事業規模が小さい場合は 資本利益率が一般金融商品の利率より、

  もっともっと高くないと生活できないのもわかりますね。

 

  とにかく、少しでも早く みなさんも ご自分の事業の資本利益率は、

  何%くらいなのかを把握してください。

 

 イ)総資本利益率(ROA:Return On Assets)

  この指標は、企業に投下された資本(①の資本と同じ)に対して企業の

  経営活動上どれだけの利益を獲得できたかを表す指標です。

  

  この場合の利益には、経常利益とよばれるものが使用されます。

  「経常利益」とは、通常、企業の正常収益力を表す利益といわれ、

  一般投資家の投資先探しの際によく利用されるものです。

 

総資本利益率=経常利益(≒事業利益) / 総資本(自己資本+他人資本)

  

  投下資本(自己資本+他人資本)に対してどれだけ効率よく利益を上げるか

  (リターンがあったか)を表しています。

 

  注)経常利益に営業上の利益や銀行預金利息や株式等の受取配当金などを

    含めて考える場合は事業利益を使用することもあります。

 

ロ)自己資本利益率(ROE:Return On Equity)

  株主の出資した資本(個人の場合は自己資金)にどれだけの利益を獲得

  できたかを表す指標です。

  この場合の利益には、当期純利益とよばれるものが使用されます。

  株主資本に対してどれだけの儲け(リターン)があったかを示しています。 

  

自己資本利益率=当期純利益 / 自己資本

 

 

ハ)資本に関する利益概念の整理  頭の体操です。

  まず、最初に資本利益率を考えました。

   資本利益率は

         資本利益率= 利益 / 資本

                            の式で算出しました。

  

  上記資本利益率を分解すると 

   資本利益率=利益/資本  = 利益/売上高 × 売上高/資本

                    ↓       ↓  

                  売上高利益率   資本回転率

     となります。

 

つまり、資本利益率を高めるということは一定の売上高に対し、いかに多くの利益を獲得するかと一定の資本に対して、いかに売上高を多くするかを意味します。

 

前者が①売上高利益率の向上、②後者が資本回転率の向上のはなしです。単純に①を向上させたいなら、原価を下げる努力を、②を向上させるためには、売上高を上げる努力が必要となります。このことからもはっきりわかりますように、原価を上げずに売上をどうすれば上げられるかを経営者は常に考える必要があることがわかります。

 

                                (文責 田中正彦)

 

 

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