(1)[資金面での工夫]
起業するに当たり、最も苦心することは資金の調達ではないでしょうか。
今までの貯蓄を投資して、事業展開をされようとする場合、貯蓄額のすべてを投資に回すことは、とても危険です。
事業にまわす資金と、今後の生活に必要な資金のバランスを考える必要があります。
最低でも、起業してその事業に目途がつくまでの事業資金とその間の生活資金のバランスを考えなければなりません。
通常半年から1年程度の間は、十分な給料はでないという計画で考えるべきではないでしょうか。
潤沢な資金に恵まれた人を除いて、他の多くの方は、このバランスを考えることが非常に重要となります。
当初必要な事業資金の最低1/3から1/2程度の資金は、自己資金で、残りは公的機関等からの創業時の融資を利用することが現実的な対応ではないかと思います。
一般に、企業経営においても、無借金経営は、資金効率が非常に悪くなるため一部の例外を除いて、行われていません(通常の企業は、総資本のうち1/3は自己資金、残りの2/3は他人資本(借入等)による場合が多い)。
特に、レストラン(パン屋さん、美容室など)経営など設備資金が大きくなる起業をお考えの場合、設備投資の資金や当面の運転資金の一部は、公的機関の融資に頼り、できるだけご自分の貯金は残しておくようにするのも考えておくべきでしょう。
(2)[制度融資・創業融資]
公的機関がみなさんのような起業家を応援するために制度(創業)融資制度を設けています。
特に、女性やシニアの方の起業を応援しています。
住民サービスの一環として起業家育成に力を入れていますので、是非、この制度を利用されたらいかがでしょうか。
公的融資により事業(起業)を成功に導き、最終的に税収を確保しようと考えているからです。
そうです。公的機関は、みなさんに成功してほしいのです。
そして税金をたくさん払ってもらいたいのです。
(3)[制度融資の現実]
しかし、公的機関としても、やみくもに融資はできません。
制度融資の原資は国民の税金だからです。
明らかに、失敗しそうな人にはお金を貸すわけにはいかないのです。
だから、誰でも彼でも借りられるわけではありません。
したがって、融資の際のチェックは非常に厳しくなります。周到な準備もなく安易に借入申請をすると簡単に却下となる恐れがあります。
一度融資の申請が拒否されると再度チャレンジのハードルが高くなる傾向がありますので注意する必要があります。
そこで、まずは、ご自分の起業に対する“事業計画と資金計画”を作り上げ、それを頭に入れることが重要となります。
この事業計画と資金計画は、現実的、かつ、緻密な計画でなければなりません。
ずさんな計画では、事業自体がうまくいくはずがありません。
“事業計画書”と“資金計画書”に魂を吹き込むのがみなさんなのです。
今後のみなさんの充実した人生を獲得するためにも情熱を傾けて事業計画書と資金計画にあたってください。
その熱意と計画の緻密さ、実現性の高さをアピールできれば、必ず、相手に伝わります。
この事業計画書と資金計画は、別に借入をしなくても、事業成功のためには、必ず、作成しなければなりません。
(4)[融資成功の暁には]
ということは、逆にいいますと、融資を受けることができたら、政府系機関から成功の可能性が十分にあるというお墨付きをもらったようなものと考えられます。
そうです。創業融資を受けられたということは、客観的に貸付の担当者やその機関から焦げ付くことの少ない、つまりは成功しそうな人と認められたようなものなのです。これは、営業上にも良い影響を与えてくれると思います。
起業にとって最も大切なことの1つに“信用”を挙げることができます。
その信用できる裏付けを公的機関がしてくれるわけですから、
営業上の大きな信用にもつながるわけです。